1　犯罪発生状況
　2020年は、新型コロナウイルス対策として3月以降に緊急事態宣言やこれに続く警戒事態が発令されました。この結果、ルーマニア警察の発表によれば、犯罪などの件数は前年度から全体で12%減少しました。また、長期的にも減少傾向にあります。しかし、スリやひったくり、置き引き、車上ねらい、自動車盗難等の路上犯罪や一般犯罪は継続して発生しており、また凶悪犯罪も発生しているので、引き続き注意が必要です。
　
2　日本人の被害例
　日本人の犯罪被害例は、最近の比較的安定した治安傾向や新型コロナウイルスによる渡航制限及び外出規制などもあり、報告されていません。
　ただし、過去には以下のような犯罪が報告されており、今後も発生の可能性がありますので、引き続きご注意ください。
（1）2019年以前に、日本人の犯罪被害は、公共交通機関内でのスリ、ひったくり、置き引き、車上ねらい等が確認されています。
（2）法外な料金を請求するタクシー（通常20～30レイのところ、40～60レイなど。１レイ＝約25円（2021年6月現在））に関連する被害も発生しています。特に空港や駅では、無許可のいわゆる白タクの運転手らが、地理に不案内な外国人旅行者に近付き、親切心を装ってタクシーに乗せた後、不当に高額な料金を請求し、さらに、そこから強盗等他の犯罪に発展したケースもあります。
（3）2015年に、日本人旅行者が深夜にタクシーに乗ったところ、スタンガンの様な物を首に突き付けられて脅され、ATMで多額な現金の引き出しを強要される事件や、一般人を装う者から両替を依頼されて対応すると、偽警察官が現れて違法両替を指摘した上で所持品検査をし、現金等を奪われる事件（2018年）が発生しています。
　また、2012年に、日本からヘンリ・コアンダ国際空港に夜に到着した女性が、同空港において親切心を装ったルーマニア人男性に声をかけられ、一緒にタクシーに乗車し、その後その男性により暴行・殺害された事件や、観光目的で訪れた邦人男性が、ブカレスト市内のノルド駅に到着しホテルを探していると、ルーマニア人の男女から道案内をすると声をかけられ、暗がりへ誘い込まれて現金を出すよう脅され、男性がこれを拒否すると、殴る蹴るの暴行を受け貴重品及び現金を強奪された事件も起きました。最近はこの種の凶悪な事件は報告されていませんが、十分な注意が必要です。